Archive | 2011年06月

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東方幻想譚 -1.幻想郷-

目が覚めると、俺は変わらず森の中にいた。辺りを見回すと、背後に大きな斜面があったから、恐らくその上から落ちたのだろう。

「この斜面は登れないな……回り込むしかないか。」

とりあえず、俺は歩き出した。斜面の様子から、かなり歩かなければならないと予測する。早くしないと、日が暮れてしまうだろう。すでに涼しくなりつつあった。
そういえば、と手に持ったお札を観察する。もう触っても頭痛はない。しかし既視感は残っていた。

「これ、なんだろう……?」

不思議な文様の書かれたそれは、どこか不気味でもあった。捨てるのもどうかと思い、妙な既視感も気になっていたからポケットに入れておくことにした。




「どこまで歩けばいいんだ?」

小一時間は歩いたように思う。しかし、一向に斜面は途切れる様子がない。

「くそっ、これ……まるで斜面で結界を張ってるみたいじゃないか。」

終わりの見えない徒歩を諦め、俺はその場に腰を下ろした。
斜面に背中を持たせかけ、空を見上げる。日が傾きつつあるのだろうか、空はほんのりと茜色に染まっている。ひぐらしの合唱が心に沁み、心地よかった。

「俺、どうなるのかな……?」

ぼんやりと考える。

「何もいないし、ここで休んでいても大丈夫かな……?」

そんな安易な考えを巡らせていると、カサリという音がした。ふっと音の方へ目を向ける。
そこには、一人の少女がいた。黒い服に金髪、赤いリボンという変わった出で立ちである。そして、その少女は口を開いた。

「あんたは食べられる人間?」

ああ、俺は食べられるのか……。しかも、こんな小さな女の子に。……ん?食べられる?

「えっ?」

「だから、あんたは食べられるのかー?」

言っている意味が分からない。俺を食べる?こんな小さな子が?
俺は吹き出した。

「あんたが俺を食べる?ははっ、冗談キツイぜ。」

食べるなんてとんだ笑い事だ。真面目な顔でそんなことを言うのが可笑しかった。
一方、その少女はバカにされたと顔を険しくしている。頬を膨らまして怒っている様子が、可愛らしかった。
その少女がこちらへ歩み寄って来る。そして、俺の腕を掴んだ。

「痛っ……?」

俺の顔から血が引いていく。その外見からは予想のつかない力だった。こちらも抵抗するが、相手はびくともしない。少女は俺の首を掴むと、斜面に押し付けた。

「う……くっ…ぅ……。」

「ずいぶんと舐めてかかってるじゃない。」

息ができない。少女の指がどんどん首に食い込んでいく。苦しい。薄れる意識の中、俺はその少女の足がガラ空きなのに気づいた。俺は思い切り足を払う。
少女はよろけ、手を放した。

「ゴホッ、ゲホッ……。なんだ、あの力は?」

荒い息遣いのままだったが、俺は逃げ出した。後ろを振り向くと、あの少女が追いかけて来ていた。…宙に浮きながら。

「一体、こいつは何なんだよ!?」

走りながらつぶやく。その間も徐々に距離を縮められていた。

「うーん、あんまりこの手は使いたくなかったんだけどね……。ま、仕方ないか。」

赤い球状の何かが俺の横をかすめる。その何かに俺は危険を感じ、咄嗟に避けた。振り向くと、少女が続けざまにそれをこちらへ飛ばしている。避けることしかできず、なかなか逃げることができなかった。
一つの外れ玉が俺の肩に当たる。その衝撃で俺は吹っ飛ばされた。しかし、肩に痛みはない。

「どうなってるんだ?」

「さあ、どうなってるんだろうね?」

気づくとあの少女が前に立っていた。口からは鋭い犬歯をのぞかせている。

「やめろ……やめてくれ!」

むちゃくちゃに腕を振り回すと、俺の手から緑色の玉が飛び出した。

「……え?」

何が起きたのか分からなかった。少女も戸惑っていたが、やがて口を開いた。

「へえ~あんたも打てるのかー。なら、『弾幕ごっこ』でケリをつけるよ?」

『弾幕ごっこ』……?なんだそれ……?

「スペルカードは2枚まで。行くよっ!」

再びその少女は赤い玉を飛ばし始めた。俺はひたすらそれを避ける。だんだんコツがつかめて来た。

「ふーん、こんな弾幕じゃあどうってことないんだ。」

少女はそう言って、お札のようなものを取り出した。

「でもこれはどうかな?夜符『ナイトバード』!」

青色と緑色の玉が交互にこちらへ向かって来る。その隙間で避けていると、ふと俺は思った。

(さっき咄嗟に打った緑色の玉で、俺も攻撃できるんじゃないか……?)

やり方がよく分からなかったが、さっきのようにして腕を振ってみると、また緑色の玉が飛び出した。それを少女に向ける。

「これを、受けてみろ!」

しかし、やすやすと避けられる。俺は夢中になって打ち続けた。少女はフワフワと浮きながら俺の放った玉を避けると、またお札を取り出した。

「面倒だから、さっさと決着つけちゃうよ?闇符『ディマーケイション』!」

米粒型をした色とりどりの弾が向かって来る。もう、こんなのは簡単に避けられる。

「ふん、へっちゃらだぜ。」

そう言って腕を振り上げたとき、突然無数の青い玉が飛んで来た。それを避けることに集中し過ぎて米粒弾が思い切り当たり、地面に叩きつけられた。

「私の勝ち~!」

口だけの笑いでこちらへ飛んで来る。少女が大きく口を開け、俺が覚悟を決めて目を瞑ったそのとき、

「霊符『夢想封印』!」

大きな光の玉が飛んで来て、少女を光で包んだ。それが消えると、そこにはその少女が倒れていた。

「言ったでしょ。追い打ちは禁止だって。」

声のする方を見ると、そこには巫女がいた。巫女にしてはずいぶん派手な格好だったが。

「助けてくれて、ありがとう。」

とりあえずお礼を言う。もう少しで食べられるところだった。

「あら、別にあなたを助けたつもりはないわ。ただルーミアがルール違反をしたから注意しただけ。」

おそらくルーミアというのはあの少女のことだろう。それにしても、これが『注意しただけ』なのだろうか。

「で、あなたは誰?見ない顔だけど。」

「ああ、俺は神谷玲斗。」

味方かも分からないのに、つい名前を言ってしまった。しかしこの巫女はどこか信頼できそうな雰囲気があった。

「私は博麗霊夢。博麗神社の巫女よ。ところで、あなたどうやってここに来たの?」

俺は霊夢にこれまでの経緯を伝えた。

「どうりで見ない顔だわ。『外』から来たんだからね……。たぶんあいつのせいね。」

『外』?どういうことだろう。ここは何かの内側だと言うのか?しかし一体何の内側……?

「『外』とかなんとかよく分からないんだが、とりあえずここはどこだ?」

「ああ、そうね、ここがどこか分からないわよね。」

そして、霊夢は一呼吸入れてから言った。

「ここは幻想郷よ。」
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疾風ロケットです!
このブログでは、東方の二次小説を書いていきたいと思ってます。まったりと書いていくのでよろしくです。
今は東方永夜抄のスペルカード集めをやっています。(ラストワードムズい・・・)
こんなダラダラ学生のブログですが、ちょくちょく小説を読みにきていただけると嬉しいです。あ、読んだらコメントくださいね?

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好きな東方キャラは諏訪子と咲夜さんです。

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