スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ある逃亡者の話

ある男が街中を走っていました

老人が話しかけます

「君はなぜ走っているのだい?」

男は答えました

「人を殺したから逃げているのさ。」

ふうん、と言って老人は去っていきました




男は町外れを走っていました

青年が話しかけます

「どこへ行くのですか?」

男は答えました

「どこまでだって行くさ。警察を引き離すまで。」

ふうん、と言って青年は去っていきました



さて、彼は逃げ切れるのでしょうか?



俺は逃げていた。
誰からかって?
俺の友人からさ。金を借りたんだが返せなくてね。仕方なく逃げることにしたのさ。
心は痛むよ。でもしょうがないだろう?返せないなんて言ったらやつの仲間に挽肉にされちまう。命は惜しいんでね。
とりあえず、駅へ向かう。
途中で老人に話しかけられた。

「君はなぜ走っているのだね?」

一瞬言うのがはばかられたが、見知らぬ老人だからと思い、俺は答えた。

「友人に借りた金が返せないから逃げているんだ。」

ふうん、と老人は頷いて去って行った。けしからんだとか言われるかと思っていたが、特に興味を持たなかったらしく、何も言わなかった。その様子がかえって不気味だ。
駅に着く。切符を買うときつい顔を伏せてしまう。別に友人に報告されるわけでもないのに。
一番遠くへ行く切符を買う。それで俺の財布はすっからかんだ。先のことなんて考えてはいられない。今どう生きるかが大切だ。
列車に乗り込み座席に座ると、老人に話しかけられた時以来の奇妙な緊張がふっと解け、まどろみ始めた。

「終点ですよ。」

溌溂とした青年の声に起こされる。ずいぶんと深く眠っていたようだ。

「ぁあ、ありがとう。」

礼を言う。すると、青年は尋ねて来た。

「どこへ行くのですか?こんな田舎に何もありませんよ?」

「君こそどこへ?」

「僕は実家へ帰るところです。」

親孝行な青年だ。自分がとても惨めになる。

「俺は……どこまででも行くさ。追っ手から逃げ切るまでは。」

ふうん、と青年は頷いた。気を付けて、と言って去って行く。
さっきの老人と同じだ。

畦道を歩いていると、小さな女の子が駆けて来た。

「ねぇねぇ、お兄さんは何をしているの?」

無邪気に尋ねてくる。

「逃げてるんだ。」

「ふうん……」

まただ。老人や青年と一緒……。

「でも、誰から?」

ではなかった。
女の子の問いに答えようと口を開こうとしたが開きかけて止まった。
友人から逃げている……?でもそれだったらこんなに遠くまで逃げる必要はない。
ふと後ろを振り向く。夕日に紅く染まった畦道が続いているだけで、誰もいない。
俺はパッと駆け出した。見えない追っ手から逃げるために。いつまでも、いつまでも走り続けた。



男は畦道を走っていました

女の子が話しかけます

「誰から逃げているの?」

男は立ち止まりました

その問いに答えられませんでした

ゆっくりと後ろを振り向き

顔を青くすると

無言で走り去りました


彼が逃げ切れるわけありません

だって

追っ手は彼の中にいるのですから





スポンサーサイト
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

疾風ロケット

Author:疾風ロケット
疾風ロケットです!
このブログでは、東方の二次小説を書いていきたいと思ってます。まったりと書いていくのでよろしくです。
今は東方永夜抄のスペルカード集めをやっています。(ラストワードムズい・・・)
こんなダラダラ学生のブログですが、ちょくちょく小説を読みにきていただけると嬉しいです。あ、読んだらコメントくださいね?

リンクフリーです。どんどんリンクしてください!

P.S.
好きな東方キャラは諏訪子と咲夜さんです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。